コメの大凶作 5
「こうなると卸に何もいえないよ。
仕入れるコメの量も銘柄も価格も、全部、むこうのいうがまま。
それでも品不足だから、うちは、新規の業務用のお客は断っているんだ。
安いコメが、全然入らなくなったからね。
これからのこと?卸から説明もないし、わからないよ」
東京都杉並区に店をかまえる、ある米屋さんが苦々しくこう語りました。
コメ大凶作の荒波が小売業者を直撃し、ジワジワとその営業基盤を侵食していたのです。
これまでの安定していた商売が一変。
商品の品揃えに苦しむ事態となり、廃業や休業といったケースまで生まれていました。
笑う卸売業者に、泣く小売業者。
コメ不足が、流通業者の間にこんな明暗をもたらしているのです。
「態度がコロッと変わった卸もいるよ。
これまでコメを買ってくれって低姿勢だったのが、強気になっちゃってね。
でも、そんな卸のいうままに買うしかないんだ、こっちは。
だけど、今はまだいいほうじゃないか。心配なのは94年の春以降だろう。
主食用の外米が回ってくるし、どうなるのか……」。